なぜハンコの習慣から抜け出せないのか

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リモートワークという言葉がよく聞かれるようになって早数ヶ月。

「ハンコを押すためにコロナ感染のリスクを負って出社する」などというコントのような出来事があちらこちらで起きていたようだけど、

なぜそこまでしてハンコの習慣から抜け出そうとしないのか(抜け出させてあげないのか)が気になる。

結局、私の知らない大きなメリットがあってハンコというものが最前線で生き長らえているのかなと思い、

ハンコの持つ「認証・承認」の役割に必要とされるいくつかの機能で他の認証・承認手段と比較してみた。

結果がこれ。

私の個人的な感覚だけど、◎(とても良い)、○(良い)、△(頑張ればいける)、×(論外)という基準になっている。

私なりに頑張ってハンコの良いところを探してみたんだけど、考えれば考えるほど、無いぞ。


こういうことはハンコに一番詳しそうな人の考えを覗いてみればいいじゃんと思い、全日本印章業協会さんのサイトを覗いてみた。

曰く、

印章の歴史は、人間社会の文化発生と同時に生まれ、五千年を経ている。そして様々な形態の変化はあったが、明治六年太政官布告以来、現代に受継がれ重要な実用の場を保っている事は周知の事実である。印章業者であるわれわれは、そのことを自覚するべきである。

長い伝統があるんだな。この伝統を途切れさすのは確かにもったいない気がするぞ。

でもだからといって現在では当たり前のデジタル署名などの手法を取り入れない理由にはならないよね。

ハンコは「伝統ある職人芸」のようなカテゴリでこそ輝いていけると、私は思う。

印章業者は、社会の秩序と最もつながる業であることを確認すべきである。そして社会人として、技能及び営業に於いても範となるべき意欲と理念を持たなければならない。

前半は何いってるか分からない。少なくとも社会の秩序と最もつながれるものではないのは確か。先の表にも書いたけど、秩序を形作るものとしては信頼性に大きな疑問がある。

後半は心構えの側面としては学ぶところが多いとは思う。大切にしたい。でもビジネスでの実践となると、今のところ論外だぞ。

印章業者は、印章の本来の目的、信証の具としての約束を忘れてはならない。
信証の本質は「唯一無二」の形であり個の表現である。
もし、その信憑性を疑われるようなことになれば業界の危機となる。そのような社会的危惧を引き起こすことのない確固たる営業の姿勢こそ大切である。

既に危機的状況だと思う。

「唯一無二」の形とは書いているけど、所詮「紙面を人の目で見て分かるレベル」に過ぎないので、ハンコの偽造はいくらでもできる。

そしてこの問題は「営業の姿勢」で解消できる類のものではないはずなんだけど・・・この点にものすごい危機感を覚える。

印章業界の機械化・省力化は、時代の趨勢である。
しかし、機械化の限度と機械万能の認識から陥る弊害に特に留意すべきである。機械化により印章本来の使命を忘れてはならない。

使命とは何かが今改めて問われていると思う。

私が思うに「日本には古来から精密なハンコをつくる職人さんがいるんだよ」という歴史の認識を次代につなぐことなんじゃないかと思う。(個人的感想)

印章の製作についての高度な技術も機械化も印章業者としての自覚と責任奉仕の心があってはじめて真の営業がなされるものである。
大きく変わりつつある政治・経済・文化の中で、我が業界も一世紀を超える歴史の中、最も困難な時代を迎えている。この危機を打開する為にはその困難の根元を考え、起り来る様々な問題に対して反省と姿勢を正す業者の経営理念の確立こそ、最も求められるものである。

何だか宗教臭い言い回しにも感じるけど、仰りたいことは割と普遍的なことで当たり障りの無い内容だと思う。


ここまで書いてきて、まだ分かっていない。

なぜハンコなのか。

私の憶測になるけど、

  • 手元にハンコがある環境じゃないと落ち着かない。
  • ハンコを押す感触がたまらなく好き。
  • まだ周りが使ってるから、(たとえ自分に権限があっても)まだ変えなくていいや、めんどい、と思っている。
  • 自分が脱ハンコをしても周りは変わってくれないだろうと思い込んでいる。

この辺りなのかな。

どうなんでしょ。

「利権だよ」という人もいるけど、その証拠を掴んだ人ってたぶんいないよね。きっと不明だよね。

そもそも、ハンコを使っている企業に対する優遇や使わない企業に対する冷遇とかも聞いたことないし、企業から脱ハンコが進まない理由としては弱い気がする。

「役所がハンコにしか対応していないから仕方なく」という声もときどき聞く。

役所は老若男女を余さず相手にしなければならないから、何となくそういう事情もあるのかな、という想像はつく。(それでもメインのワークフローがハンコというのは納得いかないけど)

ただ、役所が関係ないところでもハンコが頻出する会社も多いと聞く。

結局、「なんでハンコの習慣を続けるの」という問いに対する答えは、さっき私が書いた憶測のところしかそれっぽいものが無い。

ハンコには何か良い点があるのかな。

教えて詳しい人。