LCCと普通の旅客機の違い

プライベートで飛行機を使う機会が人並み以上にあり、LCCも普通の飛行機も(FSC:Full Service Carrierというらしい)も利用してきた。

今回はそんな私が実体験から感じた、LCCとFSCの違いを紹介していく。


欠航に対する考え方

一度痛い目を見ると強烈に印象に残るものに、欠航に対する考え方の違いがある。

JALやANAなどのFSCが欠航を決めるのは、悪天候など、航空会社にはどうしようもない理由である場合がほとんど。

それに対して、LCCでは「整備が間に合わなかった」「人手が足りない」など、航空会社側の都合で欠航することがしばしばある

どの理由も乗客からしてみれば納得しにくいものだけど、実際に私自身、保安検査をくぐり抜けて搭乗口で待ち、搭乗予定時刻を過ぎた段階になって「整備が間に合わなかったから欠航」という最悪の理由で泣く泣く空港から引き返した経験がある。

なぜこうなるのか。

基本的に旅客機というものは、整備不良などの事態に備えて「予備機」を用意しているものだけど、LCCの場合、コスト削減のために予備機を置いていないことが多い。

だから、予定していた機体を予定していた時刻に間に合わせられなくなると、そのまま欠航となるのだ。

私が経験した欠航のときには即返金手続きの案内となるはずが、返金の案内プリントがなぜか私のところには行き渡らず、何も知らない私は無駄にLCCのサービスカウンターの長蛇の列に並び、手続きの案内を請う羽目になった。(本来なら、配られるプリントに従ってスマホで返金手続きをとれば一瞬で終わるものだったらしい)

この辺りのサービスの質はLCC故か、たまたまか、よく分からない。

タイトな時間の中でLCCを利用するときにはこうした航空会社都合による欠航のリスクも覚悟しておくべきだと思う。

あるいはそもそも、LCCというのはタイトな時間を組まずに利用するものなのかも知れない。

どっちにしても、欠航となり別会社の飛行機の空きも無く、空港から引き返さざるを得なくなった場合は、空港に行くまでの交通費と空港から引き返す交通費はLCCとは無関係なので絶対に戻ってくることはない。(当然だけど)

優先搭乗客への配慮

優先搭乗自体、LCCも行っている。妊娠や身体障害などの理由から素早い搭乗ができない人を他の乗客よりも先に搭乗口に案内するサービスだ。

搭乗口をくぐった後に違いがある。

例えば、FSCの飛行機に妊娠中の乗客が優先搭乗で乗り込むと、CAが「背中に当てるクッションもございます」「ブランケットは必要ですか?」など、妊婦に嬉しいことに色々気をまわしてくれる。

こうした「気をまわす」ことはLCCにはまずない。

飲み物サービス

よく知られていることだと思うけど、FSCは国内線の場合でも無料で飲み物が1杯いただける。飲み物の種類もコーヒー、紅茶、オレンジジュース、コンソメスープなどいくつかある中から選べる。飲み終わったコップはもちろんCAが回収していく。

LCCの場合、こうしたサービスは有償となる。もちろん、こうした徹底したサービスのカットが格安という大きな売りにつながっていることはいうまでもない。

+αの温かみ

ある妊婦の乗客がFSCの飛行機を利用して降機する際に、「生まれるお子さんに」ということで何種類かの子供用の玩具から1つをもらったことがある。

さらに、 CA個人の判断によるものかもしれないけど、 小さなビニール袋に飴玉を添えて応援とお礼の手書きメッセージももらった。

こうした+αのおもてなしがその乗客の事情とぴったり噛み合うと、乗客にとってはとても良い意味で印象深い旅行となり、「多少お金を使ってもまたこの航空会社を使おう」という気にもなる。


LCCにはLCCの良さがある

何もこの記事でLCCをこき下ろしたい訳ではない。LCCは格安という大きなメリットを売りにしているが、FSCと比較した場合、やはり格安ゆえにカットされてきたものもあるということだ。もちろん、LCCにはLCCの良さがある。

予約システムのIT化がより先進的なのはFSCよりもLCCである傾向があり、これは予約サイトのページの見易さや搭乗手続きの案内ページの見易さを見ると明らかだ。乗客は洗練された簡潔な予約サイトから手続きを迷うことなく予約でき、搭乗もQRコードなどを使ってサクッと済ませられる。非常にスピーディだ。

スマートフォンを使いこなす人ならば比較的煩雑なFSCの予約サイトよりもLCCの予約サイトの方が馴染みやすいはずだ。


LCCとFSC、どちらにもそれなりの良い点とリスクがあり、私たち乗客は場合に応じて選択していく必要がある。

どんな使い分けができるだろうか。自分なりに考えてみると、「目的地でタイトなスケジュールが組まれているかどうか」が1つのポイントになると思った。

例えばビジネスで飛行機の距離にいる大切なお客様に会いに行く場合、FSCを使うべきだろう。LCCには「航空会社都合で欠航する」というリスクがあるためだ。天候が悪化しない限りほぼ確実に移動できるFSCが適していると思う。

気心知れた友人と飛行機の距離へ国内旅行に行く場合、現地のスケジュールが柔軟に対応できるよう余裕を持って組まれているならばLCCが良いと思う。誰かが代表して飛行機の予約をとる場合にも手続きがスムーズだし、欠航のリスクにもある程度柔軟に対応できそうだからだ。ただし、自分または友人の誰かが杖をついているなどであまりスムーズな動きができない場合にはその辺りの手厚いサポートが見込めるFSCを選ぶのが良いと思う。

LCCを選ぶときには乗客側にもある程度の「ゆるさ」が必要なのかも。

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